POが語る三越伊勢丹のDX

こんにちは、GxPのフクイエです。早いものでもう4月ですね。

先日、当社が開発に携わっている『三越伊勢丹リモートショッピング(※1)』、『YourFIT365(※2)』というサービスのプロダクト・オーナー(以下、PO)をされている、IM Digital Labの河村明彦さんと鈴木祥子さんが、「Agile Japan 2020」に登壇されました。その時、講演された「三越伊勢丹が考える百貨店におけるデジタルサービスのつくり方〜伝統を舞台にした新しい挑戦〜」を社内で再演していただきました!今回はその内容をご紹介します。(講演資料はこちらからご覧頂けます!)

『三越伊勢丹リモートショッピング』、『YourFIT365』のサービスを開発するうえで、POが何を大事にし、どのようにサービスを作ってきたか、私の感想とともにお伝えさせていただきます。

※1 三越伊勢丹リモートショッピング
1つのアプリ内でチャットによる会話から動画接客、購入までが可能になり、顧客は自宅にいながら三越伊勢丹各店の店頭にある商品を購入することができます(引用元:三越伊勢丹ITグループ会社とGxPが共同で三越伊勢丹リモートショッピングアプリを開発支援)。

※2 YourFIT365
3D計測したお客さまの足型データと靴の木型データをマッチングさせて、既成靴とイージーオーダー靴から選ぶことができる、くつ選びサービスです。(引用元:三越伊勢丹YourFIT365)

主役はスタイリスト

新たなデジタルサービスを作る上で大事にしたことは「主役はスタイリスト」ということでした。ここで言う”スタイリスト”とは、三越伊勢丹のお買場(店頭の売り場)で接客を担当される方々を指します。専門的な商品知識を持つスタイリストは百貨店にとって不可欠な存在です。スタイリストを支えるシステムは、スタイリストの接客を最大限に活かせること、お買場で使いやすいことが求められます。

フクイエ
スタイリストによる接客は、他社には真似できない「強み」。三越伊勢丹さんはその「強み」を主軸に、デジタル戦略を展開しているのですね。

現場と一緒に作っていく

お買場で使いやすいシステムとは、スタイリストが接客の流れを壊さず自然に使えることです。そのようなシステムを作るには、現場からフィードバックを得ることが必須です。そのためアジャイル開発を採用し、実際にシステムを現場で運用しつつ、現場の声を取り入れていきました。小さく着実に改善を繰り返していくことで、現場のニーズに合ったシステムに成長させていきます。

フクイエ
POは、業務の流れを整理するために、スタイリストなどの関係者とともにワークショップも行ったそうです。一緒に業務の流れを整理することで、現場との認識をすり合わせることが重要なのですね。

スタイリストがデジタルの補助者になる

システムの導入によって課題が解決できることもあれば、その逆に、システムを導入することで新たな課題が生じることもあります。

例えば、『YourFIT365』のサービスではお客さまの足型を3D計測をすることで、説得力のある商品提案が可能になりました。その一方、足型の計測に時間がかかり、お客さまの待ち時間が発生するという課題も生じてしまいました。

『YourFIT365』のケースでは、その課題をスタイリストの接客によって解消しました。計測の待ち時間にお客さまとコミュニケーションを取ることで、お客さまの時間が無駄にならないように工夫します。このようにシステムの制約を人がカバーすることで、システムの良さを最大限に活かすことができました。

フクイエ
人がシステムの制約を補うという考え方はとても新鮮に感じました。人とデジタルの相互作用が価値のあるサービスの提供を可能にするのですね。

大きな組織を動かすために

POが立ち向かう課題には多くの関係者がいます。
三越伊勢丹を利用するお客さまやシステム開発者、スタイリスト、三越伊勢丹の役員などです。それらの関係者と調整をするのもPOの仕事です。しかし、三越伊勢丹ほどの大きな組織となると、その調整は困難を極め、すべての関係者に対して1人のPOが調整を行うことは不可能です。

『三越伊勢丹リモートショッピング』、『YourFIT365』の開発では、POをチーム化することでそれらの調整にあたりました。社内の意思決定者への説明やお買場との調整に関しては社内事情に詳しい社内のPO、UXの設計や開発チームとの調整に関してはUXやシステムに詳しい専門家のPO、というように役割を分担します。このような組織設計をすることで複雑な調整業務を円滑に行い、スピード感のあるデジタルサービスの開発・提供を可能にしました。

フクイエ
解決したい課題を「小さく・シンプルに考える」ことも重要、ということでした。課題を整理することで、より少ない人数による意思決定が可能になることが分かりました。

感想

講演では、河村さんと鈴木さんにPOの視点からプロダクト開発について語っていただきました。ビジネスや組織の話、システムが使われている現場の話など、開発者としてはあまり触れる機会が無いレイヤーの話が盛り沢山でとても勉強になりました。

今回、サービスの開発には様々な人が関わっていることを改めて考えさせられました。三越伊勢丹のお客さまやスタイリスト、ビジネスの現場で働く方々など、様々なバックグラウンドを持つ方々と一緒にサービスを作り上げたことがDXを成功に導いたのだと、この講演で知ることができました。

私もサービスを作る一員として、どのように振る舞うことができるのか、今後も考えていきたいと思います。

 

(文:GxPフクイエ、CC室 米山)

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