Case Study
事例紹介
“スマホのない時代”に生まれたキッザニアを、デジタルで磨き続ける。 こどもの学びと成長体験を支える、共創プロジェクト
2026.03.25
インタビュー
新井 美沙希【写真右】KCJ GROUP 株式会社 マーケティング本部 マーケティング部メディアグループ アシスタントマネジャー |
大山 益弘【写真左】株式会社GxP UX Lab 室長 |
奥山 優樹【写真中央】株式会社GxP Product Service事業本部 カスタマーエクスペリエンス部Web Integration Unitマネージャー |
こども向け職業・社会体験施設として日本に上陸してから、まもなく20周年を迎えるキッザニア。
その価値の源泉は、施設内での「リアルな仕事体験」にあります。一方で、サービス開始当時には存在しなかったスマートフォンや公式アプリケーションは、今やその体験を下支えする重要なインフラとなりました。
リアルなエデュテインメント体験にデジタルを掛け合わせる取り組みの中で、キッザニアとGxPは、複雑なシステム連携やUI/UX改善に向き合いながら、実務レベルでの信頼関係とハイブリッドなチーム体制を築いています。
本記事では、国内キッザニアを運営するKCJ GROUP 株式会社のマーケティング部にて、デジタル施策をリードする新井さんと、その実現に向けて伴走してきたGxPの大山・奥山が、公式アプリやサイト、インフラなどデジタルフロントに関わる開発・運用の背景と、今後の展望について語ります。
“スマホのない時代”に始まったキッザニアを、デジタルで磨き続ける
体験のリアルとブランド世界観を一元的に支える、デジタルフロントとしての公式アプリへ
―― まずは、キッザニア公式アプリ・公式サイトの取り組みについて、プロジェクトの背景から教えてください。
大山(GxP)
リニューアル前からスマートフォンサイト自体はあったのですが、来場中に積極的に使うというより、情報を見るためのサイトという位置づけでした。
そこで「施設内にいるお客さまが、その場で便利に使えるアプリ」をテーマに、施設内マップや体験の空き状況表示などを含めてご提案したのが最初のきっかけです。
―― 新井さんは、ちょうどリニューアル後にご入社されたとうかがいました。初めてアプリを見たときの印象はいかがでしたか。
新井(KCJ GROUP)
面接前にアプリをダウンロードして触ってみたのですが、「すごく作り込まれているな」と感じました。
初期起動画面から世界観が統一されていて、「キッザニアカラー」にきれいにまとめられていて。キャラクターなどブランドならではのレギュレーションがある中で、丁寧に作られていることが伝わってきて、「ここで企画やアプリに関わりたい」と思ったのを覚えています。

距離も組織も超えて、日常的な伴走でプロジェクトを支えるハイブリッドチーム体制
オンラインとオフラインを横断し、“同じチームメンバー”として動く日常的なコミュニケーション体制
―― 現在アプリ・サイトの保守開発はどのような体制で進められているのでしょうか。
大山(GxP)
リニューアル当時は、まさにこの部屋で毎週打ち合わせをしていましたね。
コロナ前後のタイミングで、まだフルリモートになる前だったので、冬でも窓を全開にして、換気しながら打ち合わせしていたことをよく覚えています。
新井(KCJ GROUP)
私は2021年10月に入社したのですが、その頃にはリモート中心の体制になっていました。
GxPとは最初からバックログ上でのコミュニケーションがとても活発で、「自社のメンバーより毎日話しているかも」というくらい頻繁にやり取りをしています。今でも、ほぼ毎日連絡を取っている感覚ですね。
―― GxP側から見て、新井さんはどのような存在ですか?
奥山(GxP)
インフラやCMS側には別のメンバーもいるのですが、新井さんはアプリ側・インフラ・CMS側の両方をまたいで状況を把握されていて、ハイブリッドに動いてくださる存在です。
「実装のためにこういうデータが欲しい」「こういう事象が起きているが原因がつかめない」といった、かなりふわっとした相談をしても、毎回丁寧に調べてくださって、本当に助かっています。
新井(KCJ GROUP)
私はエンジニアではないので、わからないことも本当に多いです。でも細かい部分だとしても、「これは普通なのか?」「おかしいのか?」という感覚も含めて、GxPにはたくさん教えていただいています。プロジェクトでのコミュニケーションを通じて、自然と一緒に悩みながら物事を進めている感覚があります。今では、組織の枠を超えて並走しているような距離感でご一緒させていただいていると感じています。
どんな時でも、一緒に考えて原因を探してくれるパートナー
―― ここまで信頼していただけるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
新井(KCJ GROUP)
私が参加し始めた当初は、サーバーやアプリ、予約システムなど、複数の領域が並行して動いている状況でした。
そのため、課題が起きた際には、全体を見渡しながら整理する必要があり、課題を切り分けて対応することが難しいと感じる場面も少なくありませんでした。
その中で、コミュニケーション面でも技術面でも安心して頼りながら進めることができたのがGxPでした。
「ここが原因だと思います」「このあたりを確認してみてください」と、アドバイスしてくださる場面がとても多くて。「できますか?」とご相談させていただくと、必ずポジティブな返事をくださる。
「一緒に解決方法を考えてくれる会社」という印象が強く残っています。
大山(GxP)
サーバー側には海外の他社企業も入っていたので、やり取りはシンプルではなかったですね。他社のエンジニアの方だとしても直接やり取りさせていただきながら、キッザニアさんとも一緒に原因を探っていったことを今でも覚えています。
新井(KCJ GROUP)
その後、インフラやCMS周りをGxPに一本化していただけたことで、「ここに聞けば全体がわかる」という状態になり、社内としてもコミュニケーションがスムーズになりました。
今はもう、「いないと困るパートナー」という感覚です。

“アプリがないと楽しめない”
高いユーザー体験を生んだ、機能性と世界観を両立する機能設計
ユーザー体験にとっての必須機能となった「空き状況表示」と「JOBスケジュールカードのデジタル化」
―― これまでさまざまな機能を一緒に作ってきましたが、特に印象に残っているものを教えてください。
新井(KCJ GROUP)
印象に残っているのは、やはり「アクティビティの空き状況表示」と「JOBスケジュールカードのデジタル化」です。
1つめは、以前までは、「アクティビティに空きがあるかどうか」だけがわかる仕様で、「あと何人入れるのか」という情報はわからない状況でした。お客様からは「人数まで知りたい」という声が多く寄せられていました。
そこで、アクティビティごとの空き状況をアプリから確認できる仕様に変更したところ、とても好評で、いまでは“なくてはならない機能”になっています。レビューでも大変ご好評いただいています。
2つめは、お子さまが持つお仕事のスケジュールカード(JOBスケジュールカード)をアプリ上でも見られるようにしたことです。手元のスマホで、自分の予定や回り方を確認できるようになったのは、お客様の行動にも大きく影響していると感じています。
―― UI/UXを設計していくうえで、チーム内のディスカッションはいかがでしたか?
新井(KCJ GROUP)
キッザニアには世界観やキャラクターのレギュレーションがかなり細かくありますが、GxPはそこをよく理解してくださっていて、「このボタンの形だと世界観に沿わないので、こうした方がいいのでは」といった提案をたくさんいただきました。
UI/UXの専門用語も含めて、私が知らないボキャブラリーをたくさんお持ちなので、お客様が来場するまでの背景を考えながら「一緒に作っている」という感覚がすごく強かったです。
奥山(GxP)
空き状況表示もJOBスケジュールカードも、アプリだけで完結するものではなく、予約システム側に新しくAPIを作っていただくなど、他社さんとの連携調整も含めた長期のプロジェクトでした。
それでも、新井さんと一緒に「どうすればお客様にとって自然か」を常に議論しながら進められたのは、とてもやりがいがありましたね。

―― リニューアル後、ユーザーの皆さまからの反応はいかがでしょうか。
新井(KCJ GROUP)
公式アプリでは定期的に満足度調査を行っていて、フリーコメントも多数いただきます。特にインセンティブなどを設けていない運用なのですが、ありがたいことに回答率がとても高いんです。
その中で、「アプリの機能の中で一番よく使うのはどれですか?」という質問をすると、約8割のお客様が「空き状況」と答えてくださっています。
「アプリがないとパークを回れない」「空き状況を見ながら動けるので助かる」といった声も多く、GxPとの取り組みが、お客様の体験価値向上につながっていると実感しています。
奥山(GxP)
そのような実際のお声を聞くと本当に嬉しいですね。
裏側の仕組みを支えることで、お客様の体験につながっている。そういった“裏方としての役割”に、やりがいを感じています。
日本上陸20周年と、その先の進化へ
──公式アプリ・サイトを起点に、事業価値・ユーザー体験をアップデートし続ける共創パートナーとして
施設内で“価値ある仕事体験につなげるマップ”と、進化し続けるサービス価値を
―― キッザニアは、日本上陸20周年という節目を迎えられますね。今後、アプリやデジタル施策を通じて実現していきたいことについて教えてください。
大山(GxP)
デジタル領域は日進月歩で進んでいて、1〜2年先ですら読みにくい世界です。キッザニアさんのアプリも、3〜4年前に作ったものが、そろそろ次のフェーズに入ってきていると感じています。
日本上陸当時、施設を利用していた層が、現在、保護者世代となり、そのこども世代が施設内でサービスを体験するいま、こども達はデジタルネイティブ世代としてアプリを使いこなすことが当たり前になってきました。
そうした方々に、より便利で快適な体験を提供できるような次の一手を、ご一緒に考えていきたいですね。

新井(KCJ GROUP)
はい、具体的に一番実現したいことは「施設内マップのアップデート」です。
今の施設内マップは、手描きのイラストをベースにした、とてもこだわりのあるデザインになっています。一方で、「自分が今どこにいるのか」「行きたいアクティビティがどこにあるのか」を、位置情報と施設内情報を組み合わせて直感的に結びつけることは、まだ難しいという課題も感じています。
でも、施設内での体験とアプリの情報を組み合わせて価値を提供することで、顧客体験は大幅に向上するはずです。
「これまで一緒にやってきたGxPなら、きっと実現してくれるのでは」という期待を持っています。
奥山(GxP)
当時は難しかったことも、技術や我々自身のナレッジの進化によって、今後はもっと良い提案ができるかもしれません。
次のリニューアルのタイミングでは、ぜひ“施設内体験そのもの”に寄り添ったアプリを一緒に作っていきたいですね。
新井(KCJ GROUP)
そうですね。もうすぐキッザニアは日本上陸20周年を迎えますが、私たちはこれを「完成」というゴールだとは考えておりません。
私たちが掲げる企業パーパス「すべてのこども達に最高のエデュテインメント体験を提供し、豊かな未来社会の発展に貢献します」において、こども達の人生をいかに豊かにしていくか、そしてそのためには、私たち自身のサービスも、アプリなどのデジタル面も、常に進化し続ける必要があります。
キッザニアが日本上陸した当初から大切にしている価値は踏まえつつ、GxPと一緒に、時代やお客様の変化・期待に合わせてアップデートを重ねていきたいと考えています。
奥山(GxP)
こちらこそ、長く深くご一緒させていただき、本当にありがとうございます。
フロントで携わるメンバーだけでなく、GxP内にはさまざまなナレッジや専門性を持ったメンバーがいますので、今後もそうしたリソースをフル活用しながら、KCJ GROUPさんの事業価値向上に貢献していくパートナーとして、私たち自身も成長し続けていきたいです。














