Case Study
事例紹介
ゴールは、進化し続ける。ミズノの世界戦略を商品情報から加速させる、グローバル商品情報基盤プロジェクト - GxP

(写真左から)
株式会社GxP 白石 和也 SaaS Utilization部 部長
株式会社GxP 土屋 勇太 Content Management Unit アシスタントマネージャー
ミズノ株式会社 高田 真様 グローバルデジタルDTC統括本部 グローバルDTC推進室
(※肩書は取材時のものです)
ミズノ株式会社 |
DTC、ECの強化、そして海外展開の拡大を掲げるミズノ株式会社(以下、ミズノ)。その土台を支えているのが、国内外の商品情報と画像を一元管理するPIM/DAM(商品情報管理・デジタルアセット管理)です。構想から体制の強化を経て、日々の運用と改善を重ねてきたこの取り組みは、いま外部システムとの連携を広げる段階に入っています。
世界に製品とブランドを届けるミズノに対し、株式会社GxP(以下、GxP)のチームはどんな意識でこのプロジェクトに向き合い、長い信頼関係を築いてきたのか。本記事では、グローバル展開とDTC、ECの推進に向けた体制の強化を機に参画し、国内外の商品情報基盤を率いる高田さんと、導入初期から業務設計を主導してきたGxPの白石、運用の最前線を担う土屋が語り合いました。
商品情報を、成長戦略の土台に据える
DTC・EC・海外展開の足元にあった課題と、業務設計から始めた一元化
高田(ミズノ):私自身が関わる以前から、全社の中期計画として、海外販売の拡大とDTC、ECの強化を掲げていました。
一方で、現場では最新の商品情報にすぐアクセスできる状態が求められていました。私も以前はプロダクト部門で情報を出す側にいたので、その要望があるのはよく理解していました。中期計画を実現していくうえで、商品情報を一元管理するプラットフォームの必要性、重要性が高まり、導入の話が持ち上がったと聞いています。
グローバルで商品情報を管理し、ユーザーへ届ける仕組みは、ミズノにとっても初めての取り組みでした。

白石(GxP):ミズノさんは扱う商品の幅が広いので、まずはどの情報から、どのように進めていくか。そしてそれを、どう業務に定着させていくか。そこが出発点でした。システムだけでなく、業務設計も含めて両面から進めていきました。
当時は2週間に1回ほど、半日から丸一日をかけて対面で議論していました。グローバルの担当の方や本社の皆さんにも加わっていただき、集中的に検討する期間を3か月ほど設けていました。会議がない日でも、コミュニケーションツールで状況や検討内容を共有し続けていました。
体制を再構築し、プロジェクトを本格始動へ
体制を組み直し、チームで積み上げてきた数年
高田(ミズノ):2022年に体制を強化し、プロジェクトが本格的に動き出しました。私がこの部署へ異動したのも、ちょうどそのころです。
グローバルでの成長、DTC、ECの強化が求められるなかで、ほかの部門からも様々なバックグラウンドを持ったメンバーが集まりました。そこが、今のチームのスタート地点だったと思います。
異動は、私にとって大きな挑戦でした。同じ領域に長くいたので、新しいことに取り組めるのは良い機会だと感じた一方で、システムについては、ユーザーとして使う立場からのスタートでした。社内の詳しいメンバーに頼りながら、GxPの皆さんにも本当に多くのことを教えていただきました。
今のメンバーを見ていると、半年、1年でスキルが着実に向上しています。GxPの皆さんも私たちの業務を理解しようとしてくれていて、「業務を知る機会がほしい」「この部分はどうなっていますか」と積極的に聞いてくれます。お互いに相手を知ろうとするから、吸収も速くなる。ここ1、2年は特にそう感じています。
白石(GxP):私たちにとっても、ミズノさんの皆さんが業務の背景まで丁寧に教えてくださることが大きな支えになっています。互いに学び合いながら、チームとして一緒に成長してきた実感があります。
「相談される」から「先回りする」関係へ
密なコミュニケーションが生む継続的な信頼
土屋(GxP):私が運用支援で加わった当初から、週1回・1時間半の運用定例を続けています。そこで課題を吸い上げ、必要なものは検討を重ねながら、運用が円滑に回るよう改善を積み重ねてきました。四半期ごとには3か月分を振り返り、次の改善につなげています。
最近は定例とは別に相談用の時間を空けておき、ミズノさんから「この時間に相談させてください」と気軽に入れていただける形も取っています。
高田(ミズノ):私が加わった頃は導入の初期で、商品群ごとの情報の持ち方など、整理すべきことが数多くありました。それに比べると今は良い意味で安定し、前向きな取り組みを相談するステージに確実に変わっています。
GxPの皆さんにもナレッジが蓄積されているので、「この方法なら実現できるのでは」とこちらも想像しながら相談できますし、話したときの理解も早い。GxPの皆さんを含めたチーム全体として、スピードが上がっていると感じます。
白石(GxP):ありがとうございます。2022年に体制を強化された当初は、GxP側も普段は2人ほどで対応していました。そこからチームをつくり、マネジメント層だけでなく、メンバー全員がミズノさんと直接やり取りできる体制にしています。機能や要件ごとに担当を明確にしているので、「この件はこの人に相談すればいい」とわかりやすくなったと思います。
土屋(GxP):私も白石から少しずつ業務を引き継いだ当初は、世界規模で展開をしているブランド力をより強固にするというプレッシャーに、正直なところ身の引き締まる思いでした。しかし、高田さんをはじめ皆さんとても話しやすく、今ではお互いに相談しやすい関係だと感じています。

高田(ミズノ):話しやすさという意味では、GxPの皆さんに本社まで直接お越しいただいたのは、個人的に大変有意義だったと感じています。普段のやり取りはオンラインで十分ですが、節目に顔を合わせると距離が縮まり、相談もしやすくなります。私も営業をしていたので、直接会って会話を重ねるほうが「何とかしよう」という気持ちが生まれることはよくわかります。
白石(GxP):初めて出張でミズノさんに伺ったメンバーが、帰り道に「オンラインでのコミュニケーションからは得られないものがあった」「これからももっとミズノさんのために頑張りたい」と話していたのは私自身印象的でしたし、今後もこのような機会を増やしていこうと改めて思いました。
高田(ミズノ):私たちはシステムに詳しいわけではないので、専門的な部分はお任せするのが基本です。そのうえで互いを知っていくと、GxPの皆さんから新しい提案が生まれたり、こちらから相談したりもする。その繰り返しだと思います。
言語の壁を越え、ビジネスカルチャーの壁を越える
海外リージョンと直接つながり、グローバル展開を前へ進める
高田(ミズノ):グローバル案件のミーティングにも参加していただき、技術面で様々なサポートをいただいています。海外の担当者と直接英語でやり取りしながら設計を相談したり、プロトタイプを試してもらったり。そうした動きが自然にできていることは、大きな価値があります。
私たちも細かい技術の部分まではわからないので、たとえば海外リージョンで私たちと同じ立場の担当者、現地の外部ベンダー、ミズノ、GxPの皆さんの四者でミーティングを行い、技術的な部分はGxPの皆さんと現地のベンダーで直接詰めてもらうこともあります。大変心強く感じています。
白石(GxP):GxPには海外人財が多く在籍しています。英語で話せることはもちろんですが、それ以上に大きいのは、現地のビジネスカルチャーを理解したうえで事業を前に進められることです。相手の商習慣や物事の進め方を踏まえて話ができるので、海外の担当者の方とも具体的な検討に入りやすいのだと思います。
加えて、ミズノさんは海外でも知られた日本のブランドです。そのブランド力も生かしながら、各リージョンと足並みをそろえてグローバル対応を進められる。そこは私たちの強みとして、これからも伸ばしていきたい部分です。

「できない」ではなくどう実現するかに向き合う
大規模なSaaS移行を一緒に乗り越えてきた
白石(GxP):2024年には、オンプレミスからSaaSへの移行を行いました。あの時は、切り替えの数日間、両社一丸となって対応しましたね。
高田(ミズノ):移行までの1年は、密度の濃い時間でしたね。最初は順調だったのですが、膨大な商品データを移し、周辺システムとの連携を切り替える最後の2か月ほどは、確認すべきことが一気に増えて、緊張感のある日々でした。ただ、そうした局面は大規模なシステム導入にはつきものだと思います。つなぐ先のECや基幹システム、それぞれのベンダー、社内の関係部署と、プロジェクトごとに関わる顔ぶれが変わります。どれだけ経験を積んでいても、実際に進めてみると想定以上に大変な部分は必ず出てきます。
白石(GxP):関わる方が増えるほど、調整は難しくなりますよね。グローバル全体での活用を広げていく局面では、海外の担当者の方にも加わっていただき、各リージョンの状況を踏まえて判断しながら進めてきました。想定外のことが起きても、その場で関係者をそろえて次の一手を決める。その動き方を大切にしています。
ミズノさんからリクエストをいただいたときも、最初から「それはできません」とは言いません。どうすれば実現できるかを探すところから始めます。製品を提供するCentric社とも連携しながら進める必要がありますが、世界中のお客様に届く商品情報を預かっている以上、「できない」で止めてしまっては、ミズノさんのビジネスのスピードを落とすことになる。そういう意識でプロジェクトに向き合っています。
高田(ミズノ):GxPの皆さんは、まず私たちの要求を受け止め、Centric社側と調整したうえで返してくれる。その役割をしっかり果たしていただいています。課題が生じたときも一緒になって調整してくれますし、ミズノの要求を理解し、Centric社側とも話をしてくれる。その立ち位置をきちんと担ってもらっていると感じます。

意識されないほど、当たり前に機能する基盤へ
問い合わせが消えた国内EC、手作業から脱した欧州リージョン
高田(ミズノ):現在は、商品情報管理の運用が定着し、マーケティングの観点でシステムを参照したり、定期的に配信したりする仕組みもあります。
社内のユーザーは、今は効果をあまり意識していないかもしれません。それは、効果を自然と享受しているからです。以前は頻繁に寄せられていた問い合わせが、良い意味で今はほとんど来なくなりました。自動で配信され、いつどんな情報が出るのかがわかっているので、必要なときは自分で見に行く。問い合わせが来るのは、何か問題があったときだけです。意識されないほど当たり前に使われていること。それが、この仕組みの最大の効果だと思っています。
日本のECも、以前はそれぞれが手作業で情報を集めていましたが、今は基本的にPIM/DAMから必要な商品情報や画像を取得しています。構築にはGxPの皆さんに大きく協力していただきました。稼働から2年以上が経ち、効果は非常に大きいと感じています。
土屋(GxP):国内ECとの連携は、私たちにとっても思い入れのある取り組みです。効果を実感していただけているのは、何よりうれしいです。
高田(ミズノ):外部システムとのAPI連携も、GxPの皆さんと相談しながら進めています。最近はさらに一段上のデータ連携ができるようになってきました。
海外では、たとえば欧州のリージョンで、商品マスターを作る前の製品情報をExcelで手作業で整えていた流れが、PIM/DAMから渡す形に変わりました。逆に、現地のマスターからPIM/DAMへ情報を戻す仕組みも、現地のITチームと話し合って構築していただいています。こうした連携が、少しずつ広がっています。
終わりのないプロジェクトを、共に進化させる
"ええもん"を世界に届けるため、次のステージをリードする
高田(ミズノ):成果が出る一方で、取り組めば取り組むほど次の課題が見えてきます。情報の連携が強固になればなるほど、「これができるなら、こちらはできないか」「この情報も出せないか」と声がかかるようになる。それを受けて、またGxPの皆さんに相談する。その繰り返しで、少しずつ理想に近づいている実感があります。
最初は、情報がきちんと入り、渡せる状態をつくる。いわば土台を整える段階でした。それが少しずつ形になってくると、今度はAIの台頭をはじめとする外部環境の変化によって、求められる商品情報そのものが変わってきます。より魅力的な情報をお客様に届けるためのクオリティが重要になってきました。当時はそこまで想定していなかったと思いますが、ゴールも、求められることも変わっていく。そう考えると、このプロジェクトに終わりはないのかもしれません。ただ、真ん中にあるPIM/DAMが商品情報を受け止め、データを循環させる役割は、これからもなくならないと思います。

土屋(GxP):私たちとしては、データがPIM/DAMにきちんと入り、一元管理できるようになった今が、ようやくのスタートだと考えています。最近は外部連携を個別のプロジェクトとして切り出して進めていますが、これもデータが揃ったからこそ動き出せたものです。まだ押さえきれていない領域もあるので、PIM/DAMの周辺システムについてお話を伺いながら、業務にも踏み込み、連携の幅を広げていきたいと考えています。その際は、関わるチームを早い段階から巻き込み、全員で同じビジョンを共有しながら進めていきます。利用者が増えるほど見えてくる課題にも、より円滑に使っていただくための施策を打っていきたいです。
白石(GxP):ミズノさんが本来注力すべき、ブランド価値の向上やグローバル展開に集中できる状態をつくる。これは普段からミズノさんにお伝えしていることです。運用の手間をミズノさんに負っていただくのではなく、システムの安定稼働と省人化・自動化を前提に、商品情報の側から次の打ち手を提案していく。そこまでが私たちの役割だと考えています。
高田(ミズノ):国内外から「こういう外部連携はできないか」と相談を受けるようになったのは、それだけPIM/DAMがハブとして認知されてきた証だと思います。これからもGxPの皆さんと相談しながら優先順位をつけて進めていきたいですし、その先には海外での売上拡大といったビジネスの目標があります。"ええもん"を世界に届ける。その下にある私たちのビジネス課題に対して、これまでのやり取りで積み重ねてきた互いの業務理解を組み合わせ、解決していきたいと考えています。
GxPの皆さんには、Centric社側への影響力をさらに高めていただきたいと思っています。私たちの要求を咀嚼したうえで、全体にとって必要なことであれば、積極的にCentric社側へ要望を上げてほしい。GxPの皆さんがCentric社側にとって重要なパートナーであり続けることは、私たちにとってもメリットがあります。ルールを守ったうえで他社の事例を共有していただいたり、新しいユーザー企業を増やしていただいたりすることも歓迎です。私たちへのサポートが手薄になるのは少し寂しいですが、ユーザー企業が増えて製品そのものが良くなれば、結果として私たちのグローバルでの競争力にも返ってきます。そのほうがミズノのブランド全体にとって良いと思っています。
そのためには、私たちも「提案したい」と思ってもらえる側にならないといけません。そこは一緒につくっていく関係だと思っています。
土屋(GxP):私たちも、ミズノさんに成長させていただいていると感じています。アドオンの導入のように新しいことに挑戦させていただく一方で、標準機能でどう実現するかを考える機会も多く、大きな学びになっています。これからもやり取りを重ねながら、お互いにWin-Winの関係でいられたらと思います。
白石(GxP):シンプルに、ミズノさんの商品情報の管理を支えられていることを誇りに感じています。店頭に行くと、つい品番を確認してしまいますし、自分たちが管理を支えている商品がきちんと並んでいるのを見るとうれしくなります。フットサルの場でミズノのシューズを履いている人を見かけたときも同じです。これからも会社全体として、商品情報の側から、ミズノさんのグローバル展開とブランドの成長を一歩先回りしてリードし続けられる体制をつくっていきたいと思います。







