当社では、社員一人ひとりのライフステージや価値観の違いを尊重し、その変化に安心して向き合える環境づくりを重要な経営テーマの1つとしています。
その象徴的な取り組みが、「男性の育児休暇取得」を当たり前の選択肢として根づかせることです。
今回は、今年育児休暇(以下、育休)を取得した倉富 耀さんと、グロース・アーキテクチャ&チームス株式会社 代表取締役社長であり、ご自身も育児経験を持つ鈴木 雄介さんにお話を伺いました。
現場社員と経営者、それぞれの立場から語られる「育児休暇のリアル」は、制度を整えるだけではなく、育児と仕事の両立を支える文化がどのように育まれているのかを物語っており、当社がめざす“誰もが安心して育児に向き合える職場”の姿が浮かび上がりました。
社員の紹介

倉富さん
倉富 耀 Hikaru Kuratomi
グロース・アーキテクチャ&チームス株式会社 unit1 アシスタントマネージャー
3か月間の育児休暇を取得

雄介さん
鈴木 雄介 Yusuke Suzuki
グロース・アーキテクチャ&チームス株式会社 代表取締役社長
プライベートでは1児のパパ
育休取得の背景——迷わず「家族を優先したい」
倉富さん:
妊娠が分かったとき、自然と「育休は取るものだ」と思っていました。
前職では男性の育休取得が当たり前だったこともあり、その影響は大きかったです。
その後、妻と今後の生活について話し合う中で、里帰りはしないという家族としての方針になりました。
「じゃあ自分がそばにいて支えないと」と実感したことが、育休を取る決断につながりました。
家族として選んだ形を大切にしたい—— その思いが、育休を迷わず選べた一番の理由です。
雄介さん:
相談を受けたとき、「絶対に取ったほうが良いよ」と伝えました。最初の時間を一緒に過ごす経験は、後になって本当に大きな意味を持ってきます。育休は確かに仕事を離れる期間ではありますが、“ブランク”ではなく“経験値”。最初の育児を家族と共に過ごすことで、その後の関わり方も大きく変わっていくと思っています。
倉富さん:
担当していたお客さまもとても理解があり、「大変だろうけど頑張ってね」と送り出してくれて、本当にありがたかったです。 その裏側では、もしかしたら雄介さんが大変な部分をそっと受け止めてくださっていたのかもしれませんが……(笑)。

育休期間のリアル——“2人で1日を回す”生活
倉富さん:
朝は子どもと一緒に起き、オムツ替え、ミルク、散歩。できるだけ外に出て家族3人で過ごすようにしていました。家事についても、これまでは「できる方がやる」という日常的なスタイルでしたが、育休中は基本的に家事も育児も私が担っていました。育休が終われば、今度は妻に任せることが増えると思っていたので、せめてこの期間だけは少しでも楽をしてもらえたら、という気持ちでした。
一方で、最初の2週間ほどは仕事が気になり、ついメールを確認してしまうこともありました。けれども連絡がなかったことで、「任せよう」と気持ちが整理でき、それ以降は子どもにしっかり向き合えました。頼もしく送り出してくれたチームメンバーには本当に感謝しています。
睡眠不足は正直大変でしたが、その分、家族と過ごす時間がかけがえのないものになりました。

雄介社長の育児経験——時代の変化と、働き方の転換
雄介さん:
実は、在宅勤務が当たり前になる前に、私自身が子育てをきっかけに働き方を大きく変えた時期があります。当時はリモートワークが一般的ではなく、社内でも驚かれましたが、お客様先での必要な会議以外はオンラインに切り替え、周囲の理解をいただきながら進めていました。
その経験から、“働き方は会社の都合だけで決まるのではなく、社員一人ひとりの人生とともに変わるべきだ”と強く感じました。だから当社では「男性育休」を“制度があるから使える”ではなく、“会社として推奨し、安心して選べるもの”にしたいと思っています。
今はオンライン会議が一般化し、働き方の選択肢も大きく広がりました。
さらに当社はエンタープライズ企業とのプロジェクトが多く、働き方改革や育休への理解が深いお客様に恵まれています。こうした環境が、育休を取りやすく、仕事と家庭を両立しやすい土台になっています。
復職後の変化——“理解できる範囲”が広がった
倉富さん:
復帰初日は戸惑うこともなく、意外とすんなり馴染めました。3か月という期間だったこともあり「戻っただけだ」という感覚で働き方に大きな変化はありませんが、お子さんがいる同僚への理解は明らかに深まりました。
会議を途中で抜けざるを得ない状況がどれほど大変なのか、体験して改めて分かりました。いまは「すぐ行ってあげてください!」と自然に言えるようになりました。
雄介さん:
育休中は周囲が担当業務や体制を調整しますが、復職後も含めてチームで支え合うことで組織が強くなります。倉富さんの視野の広がりや優先順位のつけ方は、今後のキャリアにも必ず良い影響をもたらすと思います。
子育ては、相手の声にならないサインを読み取る“マネジメントの基礎力”が磨かれる時間でもあります。

これから育休を取る人へ——正解はひとつじゃない
倉富さん:
もしこれから育休取得が選択肢の一つに浮かんだら、一度、仕事を横に置いて家族のことだけを考えてみるのが良いと思います。 長く取ることが正解でも、短く取ることが正解でもありません。家庭にとっていちばん良い形を選ぶことが大切です。
私は「私たち家族にとってこの時間は一度きり」と思い、3ヶ月の育休を選びました。振り返ると、この選択は家族にとっても、自分自身にとっても大きな意味がありました。
雄介さん:
その言葉を聞けてうれしく思います。社員が安心して育休を選べる環境づくりは、これからも大切にしていきたいと考えています。家庭の時間が充実してこそ、仕事にもより前向きに取り組めますし、育児休暇取得の経験はキャリアを止めるものではなく、むしろ先の長い人生の土台をつくる貴重な時間です。
「誰もが“取りたいときに取れる”会社でありたい。それが私の願いです。」
編集後記
今回の対談は、育児と仕事の両立というテーマを軸に、“私たちの会社がどんな価値観を大切にしているのか”を改めて確かめる、とてもあたたかく、有意義な時間となりました。
エンタープライズ企業の働き方改革を支援する立場であるからこそ、私たち自身も柔軟で前向きな働き方を実践し続けることが求められています。
育休の取得は、社員一人ひとりがキャリアと家庭のどちらも大切にしながら長く働き続けられる企業文化を育てていくための大切な一歩です。
これからも、働きやすさと事業成長を両立させながらすべてのメンバーが自分らしく力を発揮できる組織づくりに取り組んでいきます。



